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2012年02月10日
事業再生(5)「事業再生の流れ ~(4)平時への回帰~」


これまでお話しした通り、事業再生は以下のような流れで進みます。


①状況分析 → ②緊急時対応 → ③事業再建 → ④平時への回帰


前回は「③事業再建」についてお話しさせていただきましたので、今回は「④平時への回帰」についてお話しします。



1.事業計画の実行(事業と業務の流れの見直し)


前回の「事業計画の作成」でもお話しした通り、事業再建のための事業計画を実行するにあたっては、その企業の中核となる事業(コア事業)を見直し、そこに経営資源(ヒト・モノ・カネ)を集中することにより、企業を利益の出せる体質に変える必要があります。


ここで重要なのは、従来の経営ではうまくいかなかった(事実上破たんした)ことが明らかであるため、従来のやり方に固執せず、いったん原点に立ち返って、これまでとは違ったやり方を考えて実行していくことです。


また、それに伴い、販売管理や生産管理、人材管理などの業務の流れ(業務プロセス)を一から見直すことも必要になってきます。
場合によっては、専門家からアドバイスを受けることも必要になってきます。



2.合理化の実行


一般的に、再建中の企業は事業計画の実行を継続しながら、企業の運営を順次通常の体制に戻していきます。
この際に再建中の中小企業にとって大切なのが合理化の実行です。


合理化では固定費の削減が最大の目標になります。
固定費とは、売上の変動に関係なく発生する費用を言います。


たとえば、稼働率の低い設備の維持費用や売上に貢献しないホームページ運営費用など、各費用項目に優先度を付けて、優先度が低いと判断した項目は思い切ってカットする必要があります。



合理化の実行にあたっては以下の点がポイントになります。


①資金の準備
人員の整理による退職金の支払いなど、資金の準備が必要になる場合があります。


②妥協しない
利益を生まないものを全て切り捨てる覚悟が必要です。
たとえば、「従業員が反対したから」などの理由で妥協した場合は、再建の遅れにつながり、再度破綻の危機に陥る可能性が高まります。


③一気に行うこと
一切の妥協を排して一気呵成に行うことが大切です。
早期着手により速やかに成果を上げることが重要です。



以上、5回にわたって「事業再生」についてお話してきました。
専門的な言葉も多くて、内容が伝わりにくかったかもしれません。ご容赦下さい。



税務コンサルティング部 竹田

2011年12月20日
事業再生(4)「事業再生の流れ ~事業再建~」


これまでお話しした通り、事業再生は以下のような流れで進みます。


①状況分析 → ②緊急時対応 → ③事業再建 → ④平時への回帰


前回は「②緊急時対応」についてお話しさせていただきましたので、今回は「③事業再建」についてお話しします。


事業再建は、「事業計画の作成」、「財務管理」、「販売生産管理」、「組織人材管理」の4つのステップに分類できます。



1.事業計画の作成


再生中の企業が売上と利益の回復を図ることのできる最も可能性の高い戦略は、「コア事業への回帰」と「選択と集中戦略」です。
これは、自社の強みや競争力の源泉を分析し、その事業(コア事業)へ経営資源(ヒト・モノ・カネ)を集中することを意味しています。
その戦略を軸に再生のための事業計画を作成します。


・事業単位毎の事業計画作成
 どの事業を継続させ、どの部門を売却または清算すべきかを明らかにするため事業単位毎の作成が必要


・弁済計画の作成
 毎期の収益(税引後の営業キャッシュフロー)から債権者にどれだけ弁済できるかを試算
 弁済が長期化する場合は計画の再検討が必要



2.財務管理


再生中の企業においては、経営環境の変化に対応できずに、事業活動に有効に活用していない資産を抱え、資産効率が悪化していることが多くみられます。
このような場合、資産を再編し、効率的な資産構成にすることで企業体質を強化することができます。


・非稼働資産の売却
・在庫処分
・売掛債権の流動化
・不動産の流動化・証券化
・セール&リースバック



3.組織人材管理


企業の組織はその企業の戦略と密接な関係を持っています。そのため、経営環境が変わればそれに適した組織に再編する必要があります。
再編にあたっては、以下の効果が得られるように組織を改善しなければいけません。


・意思決定の迅速化と指揮命令系統の一本化
・現場担当者のモラル向上
・徹底した業務の効率化とコストの変動費化


これらの効果を得るためには、組織階層をフラットにすることが有効であると言われています。


また、再生中の企業にあっては、従業員も厳しい環境に置かれることになります。
企業の再建を成功させるためには、経営側からの施策を一方的に押し付けるだけでなく、再建のための動機づけも必要になってきます。
動機づけとしては、以下のような施策があります。


・成果主義による業績給の導入
・若手抜擢人事の敢行
・能力開発のための教育制度の充実



次回は、「④平時への回帰」についてお話しします。



税務コンサルティング部 竹田


 

2011年11月9日
事業再生(3)「事業再生の流れ ~緊急時対応~」

これまでお話しした通り、事業再生は以下のような流れで進みます。


①状況分析 → ②緊急時対応 → ③事業再建 → ④平時への回帰


前回は「①状況分析」についてお話しさせていただきましたので、今回は「②緊急時対応」についてお話しします。


緊急時対応では、大きく分けて以下の3つのステップに分類できます。



1.資金管理体制の導入


企業が深刻な危機にある場合、まず最優先されるのは「短期的な生き残りのための資金の確保」です。
資金がなければ、再生のための時間が確保できないからです。


具体的には、
・短期の資金必要額の見積り
・資金創出のための行動計画の立案(資金を確保するための行動計画)
・資金管理体制の緊急導入
などを行います。


資金管理体制の導入は経営者にとって難しい決定や重大な変化を伴うため、経営者から不満が出ることが普通ですが、生き残りのためには避けて通ることはできません。



2.利益の拡大/製品(サービス)別損益分析


自社の製品(サービス)の利益を以下の3つのレベルに分けて考えます。


レベルA:製品別限界利益=売上高-変動費(材料費や外注費)
レベルB:製品別貢献利益=限界利益-製品別直接経費
レベルC:製品別利益=貢献利益-共通費


まず、レベルA(製品別限界利益)で赤字の場合は、直ちに撤退です。


レベルB(製品別貢献利益)やレベルC(製品別利益)が赤字の場合は、撤退した時にその製品(サービス)が負担していた直接経費や共通費を他の製品(サービス)で負担しなければならなくなるため、個別の製品(サービス)ごとの利益のみならず、全社の利益への影響を考慮したうえで判断する必要があります。


このような製品別損益分析の結果、利益への貢献度の高い製品(サービス)と赤字の製品(サービス)が明らかになり、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の選択と集中を行う上での方針を明確にすることができます。



3.企業カルチャーの変更


(1)目的地(経営ビジョン)の明示


再生のためには、まず経営トップが会社の向うべき目的地を示し、これを組織全体に共有させて再生の原動力を生むことが求められます。
ここで重要なことは、経営トップ自身が自分の言葉で従業員に説明し、彼らの納得を得ることです。


(2)従業員のやる気を引き出す


当然のことながら、再生には経営トップと従業員の信頼関係がなければうまくいきません。このためには緊密なコミュニケーションは不可欠です。
また、改革の決意を社内に徹底させるためには経営トップの率先垂範が求められます。



次回は、「③事業再建」についてお話しします。



税務コンサルティング部 竹田


 

2011年10月17日
事業再生(2)「事業再生の流れ ~状況分析~」

前回お話しした通り、事業再生は以下のような流れで進みます。


①状況分析 → ②緊急時対応 → ③事業再建 → ④平時への回帰


そのうち、今回は「①状況分析」についてお話しします。



1.経営不振に陥った原因の発見と危険の度合いの見極め


経営不振の原因は、一般的に、


<a>本業不振
<b>不採算事業
<c>過剰債務


の3パターンに分類できます。


一方、危険の度合いは、その企業が破たんするまでの時間的な余裕を月次試算表や資金繰表などから判断します。


万一、深刻な資金不足に陥っている場合は、


・危険の回避(手形のジャンプや支払延期のお願いなど)
・財務内容の改善(未活用資産の売却など)


などに、真っ先に着手することになります。



2.再生可能性の診断


その企業または事業が再生可能であるかどうかを、客観的に診断します。


診断する項目として、


<a>外部の環境と業界の特質(競争力市場の成長性など)
<b>収益構造(損益分岐点、粗利益率など)
<c>企業価値の評価(会社を清算した場合と継続した場合の比較)
<d>外部関係者との関係(主に銀行、連帯保証人など)


などがあります。


上記の外部環境や収益構造から再生可能性があると判断した場合は、さらに、企業価値の評価や外部関係者との関係から総合的に判断し、再生手法を選択することになります。(再生手法については後日お話しします)



次回は、「②緊急時の対応」についてお話しします。



税務コンサルティング部 竹田

2011年10月4日
事業再生(1)「企業のライフサイクル」

企業のライフサイクルは人の一生とよく似ていて、


①創業期→②成長期→③成熟期→④衰退期というサイクルで進みます。


このうち、④衰退期では、企業の収益が赤字に転落したり、または低収益が数年間に渡り続いている状態で、このままでは企業の生命維持が難しい状況(=倒産)に陥ってしまいます。


事業再生では、この衰退期にある企業(事業)の収益を改善する取り組みを行います。
この取り組みでは、かなりドラスティックな手段を用いることになります。


事業再生は、以下のような段階を踏んで行われます。


1.状況分析
2.緊急時対応
3.事業再建
4.平時への回帰


次回以降は、それぞれの段階について、ご説明していきます。
税務コンサルティング部 竹田