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2012年01月30日
事業承継(5)「生前贈与は工夫しよう 2」

前回では、生前贈与の上手な方法として、①贈与する人を増やす、②1人に集中しない、③複数年に分ける
の3つをお話しました。
今回は少し応用編ということで、更にお話を進めていきたいと思います。



④適度に贈与税を納めよう
 「何をトンチンカンなことを…。」
 と言われそうですが、相続税が間違いなくかかる、という方であれば贈与税を支払ってでも贈与した方が
 多くの財産を短期間で次世代に移すことができます。
 
 例えば、資産総額1.5億円、相続人子2人の場合、子2人にかかる相続税は1200万円かかります。
 実効税率(もらった財産に占める税金の割合)は8%です。


 (ア)10年間2人の子供に100万円ずつ贈与した場合


 (イ)10年間2人の子供に200万円ずつ贈与した場合


 さて、どちらが有利でしょうか。



 (ア)の場合
  贈与税 : 年間110万円以下の贈与なので贈与税はかかりません。
  相続税 : 100万円×10年間×2人=2000万円財産が減少するので遺産総額は1.3億円。
        相続税は800万円。
  合計  : 800万円(△400万円)


 (イ)の場合
  贈与税 : 年間200万円贈与すると贈与税は9万円(実効税率は4.5%)
        年間贈与税9万円×2人×10年=180万円。
  相続税 : 200万円×10年間×2人=4000万円財産が減少するので遺産総額は1.1億円。
        相続税は500万円。
  合計  : 680万円(△520万円)
  
  結果、(イ)の場合の方が、贈与税・相続税トータルで考慮すると少なくて済みます。
  これは、相続税の実効税率より低い税率の範囲で贈与を行ったことによる効果であり、
  財産規模が大きくなるほど、節税効果も大きくなります。


  贈与税は相続税に比べて税率が高いイメージがありますが、予想される相続税の実効税率が
  分かれば、より有利に贈与を進めることができます。
  その為にも一度おおまかに所有財産を計算し、どれくらいの相続税の実効税率なのか検証してみましょう!



税務コンサルティング部 資産税課 森本

2012年01月20日
事業承継(4)「生前贈与は工夫しよう 1」

相続税節税の王道と言えば、やはり生前贈与です。
事業承継第2回でもお話したように、「長期的」かつ「継続的」な生前贈与は相続税の節税に効果があります。


多くの資産家の方、経営者の方は、生前贈与による節税を図るため、毎年贈与税のかからない110万円以下で奥さんや子供に贈与しています。
しかし、上手に贈与すればもっと節税効果を生むことができるのです。その方法を以下お話していきましょう。


①贈与する人を増やす
 生前贈与は奥さんや子供以外にしてもよいのでしょうか?
 勿論いいんです!
 何も贈与相手が相続人に限られている訳ではありません。子供のお嫁さんでも、お孫さんでも生前贈与は認められます。
 贈与相手が増えれば、その分贈与できる金額も増えるため、より節税を図れます。


 また、相続人以外への贈与はもう一つの効果があります。
 それは、生前贈与加算の対象外になるということです。
 生前贈与加算とは、相続又は遺贈により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に受けた贈与財産は相続財産に加算して
 相続税を計算するしくみのことです。相続人への相続直前の贈与が節税にあまり役立たないのはこのしくみのためです。
 しかし、子供のお嫁さんやお孫さんは通常相続人ではないため、遺言や養子縁組でもない限り、相続により財産を相続しません。
 よって、子供のお嫁さんやお孫さんには生前贈与加算は適用されないケースが多いのです。


②1人に集中しない
 長男に500万円贈与したい場合、贈与税は通常53万円かかります。
 【算式】(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円
 しかし、長男とそのお嫁さんに250万円ずつ贈与すれば各々14万円ずつで合計28万円で済みます。
 【算式】{(250万円-110万円)×10%}×2人=28万円 
  
③複数年に分ける
 贈与税は暦年で課税されるため、通常1月1日から12月31日までの贈与金額に対して課税されます。
 例えば、年末に500万円一度に贈与すれば、やはり贈与税は53万円かかります。
 しかし、年末と翌年始めに分けて250万円ずつ贈与すれば、1年あたりの贈与税は14万円で済み、
 2年分でも28万円で済みます。


このように、贈与の方法を少し工夫することで税金を安くすることができます。
次回も生前贈与の上手な方法についてお話していくことにしましょう。



税務コンサルティング部 資産税課 森本

2011年11月2日
事業承継(3)「相続対策は節税だけ?」

「相続対策」と言って皆さんは何を考えますか?
やはり「相続対策=節税対策」というイメージが強いのではないでしょうか。


確かに相続が発生した場合、最も気になるのは相続税でしょう。
最高税率は50%もあり、「3代相続が発生すれば財産がなくなる」といった言葉があるくらい、
相続税の負担は残された遺族に大きな負担となるのは間違いありません。


しかし、相続が発生して問題になることは、税金だけではありません。
遺産を巡り相続人同士が争うこともあれば、急に親の事業を引き継いで後継者が苦労するということもあります。
相続前は潜在化していた問題が、相続をきっかけに一気に噴き出すケースが非常に多いのです。


相続対策の3原則は、
①節税対策   
 生前贈与、財産の組み換え等により遺産を圧縮して相続税を減らす対策。 
②「争族」対策 
 生前贈与、遺言書を活用して、被相続人の意思を財産分割に反映させ、遺産を巡る相続人間の争いを事前に防止する対策。
③納税資金対策 
 遺産を相続した人が、相続税をスムーズに納税できるようにするための対策。
加えて、会社を経営している方であれば、後継者に円滑に事業を引き継ぐ為の対策も必要になります。


相続は、時として家族や親戚関係を壊す事もあります。「節税」は勿論大事ですが、それが行き過ぎて家族の絆が
なくなるようでは本当の相続対策とは言えません。
相続対策は是非とも3つの原則のバランスを取りながら進めていきましょう。



税務コンサルティング部 資産税課 森本

2011年10月13日
事業承継(2)「相続について話す機会を持ちましょう」

「相続」について皆さんは親子で話す機会を持ったことがありますか?
親が70歳であれば、子は30代から40代。この段階で親子で相続について話している方
は非常に少ないと思います。実際、現在60代であっても元気に働いていらっしゃる方も多
く、子供の方から「相続」について切り出すことは難しいでしょう。


ちなみに、男女の平均寿命(厚生労働省「平成22年簡易生命表」)は男性は79.64歳、
女性は86.39歳。平均余命の場合は多少異なりますが、男性であればあと10年弱で相
続を迎えてしまう訳です。
「あと10年もあるじゃないか」と思うかもしれませんが、相続対策を行う為には早ければ
早い方がよいと思います。
例えば、現行税制の場合、親の遺産総額1億円、相続人子2人のケースであれば相続
税は350万円課税されます。しかし、2人に年間100万円ずつ10年間贈与すると、相続
税は100万円。勿論、10年間で親の財産が増えたりしないことが前提ですが250万円
も差額が出ることになります。
相続対策で大事なことは「長期性」と「継続性」です。まずは、親子間で相続について話す
機会を持ちましょう。そして長期的な視点で相続対策を検討していくことが必要であると思
います。


税務コンサルティング部 資産税課  森本

2011年09月30日
事業承継(1)「相続税増税時代は来るのか?」

当初の平成23年度税制改正案では以下のような相続税の増税案が示されていました。
1. 基礎控除額の引き下げ
現在、相続が発生した場合、相続税を納める人は100人中4~5人。この対象者を倍以上に広げる為に、相続税の基礎控除額(相続税が課税されない金額の範囲)を4割引き下げる。具体的には、現状5000万円+1000万円×法定相続人の数(養子については一定の制限有り)ですが、3000万円+600万円×法定相続人の数とする。
2. 生命保険金の非課税枠引き下げ
死亡保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の数です。この法定相続人の数に一定の制限(未成年、障害者、生計一の人である相続人に限る)を設け、非課税枠を引き下げる。
3. 税率の引き上げ 等


皆様もご存じのとおり、この改正案は通常国会において通過せず見送りとなりました。しかし、東日本大震災の復興財源として相続税が検討される等、依然として相続税増税の流れは変わらないようです。「相続税はお金持ちの税金」と言われていましたが、平成23年度税制改正案の場合、「財産はマイホームと退職金と保険金」といった家庭であっても課税される可能性があり、来年度以降の相続税改正の動向にも注視する必要があるでしょう。


税務コンサルティング部資産税課 森本