相続税節税の王道と言えば、やはり生前贈与です。
事業承継第2回でもお話したように、「長期的」かつ「継続的」な生前贈与は相続税の節税に効果があります。
多くの資産家の方、経営者の方は、生前贈与による節税を図るため、毎年贈与税のかからない110万円以下で奥さんや子供に贈与しています。
しかし、上手に贈与すればもっと節税効果を生むことができるのです。その方法を以下お話していきましょう。
①贈与する人を増やす
生前贈与は奥さんや子供以外にしてもよいのでしょうか?
勿論いいんです!
何も贈与相手が相続人に限られている訳ではありません。子供のお嫁さんでも、お孫さんでも生前贈与は認められます。
贈与相手が増えれば、その分贈与できる金額も増えるため、より節税を図れます。
また、相続人以外への贈与はもう一つの効果があります。
それは、生前贈与加算の対象外になるということです。
生前贈与加算とは、相続又は遺贈により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に受けた贈与財産は相続財産に加算して
相続税を計算するしくみのことです。相続人への相続直前の贈与が節税にあまり役立たないのはこのしくみのためです。
しかし、子供のお嫁さんやお孫さんは通常相続人ではないため、遺言や養子縁組でもない限り、相続により財産を相続しません。
よって、子供のお嫁さんやお孫さんには生前贈与加算は適用されないケースが多いのです。
②1人に集中しない
長男に500万円贈与したい場合、贈与税は通常53万円かかります。
【算式】(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円
しかし、長男とそのお嫁さんに250万円ずつ贈与すれば各々14万円ずつで合計28万円で済みます。
【算式】{(250万円-110万円)×10%}×2人=28万円
③複数年に分ける
贈与税は暦年で課税されるため、通常1月1日から12月31日までの贈与金額に対して課税されます。
例えば、年末に500万円一度に贈与すれば、やはり贈与税は53万円かかります。
しかし、年末と翌年始めに分けて250万円ずつ贈与すれば、1年あたりの贈与税は14万円で済み、
2年分でも28万円で済みます。
このように、贈与の方法を少し工夫することで税金を安くすることができます。
次回も生前贈与の上手な方法についてお話していくことにしましょう。
税務コンサルティング部 資産税課 森本